オニドコロ

ヤマノイモ科 ヤマノイモ属

2006.8.27 東京都高尾山  2006.8.27 東京都高尾山
 


山野に生えるつる性の多年草。葉は互生し、葉身は円心形~三角状心形、先は長く尖り、全縁、質は薄い。葉柄があり、葉腋に球芽(むかご)はつかない。
雌雄異株で、雄花序は葉腋から直立し、黄緑色~淡緑色の小さな花を多数付ける。雌花序は下垂する。果実は長さ1.8~2.2センチの卵状楕円形で3翼がある。花期は7~8月。北海道~九州に分布する。

~徒然想~

花らしき花穂は少しも美しくないですが、名前や植物の姿から、何か薬用を予測させました。
調べると、この植物の根茎を乾燥させたものは生薬で菟薢(ひかい)といい、急性尿道炎や皮膚湿疹に用いられたようです。また、かつて食料がないときには煮物などにして食用としたようです。
しかし、昔は根茎を砕いて川に流して魚を採ったというくらいですから有毒です。食用とするには、あく(毒)を抜く必要があります。

ヤマノイモ科の植物の中では一番目にすることが多いかもしれません。雄花序は下に垂れず、直立します(時に重さで横に垂れます)。群生するので、小さい花にもかかわらず結構目立ちます。
画像はいずれも雄花です。雌花は下部に細長い子房が付きますが、確認できませんでした。

-同じ科の植物-


 

ヒメドコロをアップするにあたり、比較しながら本種を見直してみました。
本種はヒメドコロに比べると葉幅が広く、丸みがあります。ただ、葉幅が狭いものもあり、ヒメドコロの葉幅が広いものと紛らわしい時もあります。
また、本種の雄花序は立ち上がり、雌花序は垂れ下がる特徴があります。ヒメドコロは両方とも垂れ下がります。
雄花の花被片は6枚で長楕円形、平開し、ときに反り返ります。完全雄しべが6個あります。雌花の花被片も6枚で長楕円形、平開し、花柱は3個、開花時から子房は膨らんでいます。
ヒメドコロの花被片も同形ですが、雌花の花被片は細いです。


 2019.9.1 東京都奥多摩    2019.7.21 静岡県
 
 2024.8.21 東京都八王子市    2024.8.21 東京都八王子市
 
 2025.7.18 東京都八王子市
雌花序 拡大画像は下記にあります
   2025.7.18 東京都八王子市
葉はふつう幅広いです
 
 2025.7.18 東京都八王子市    2025.7.18 東京都八王子市
雄花 花被片は長楕円形で6枚、雄しべは6個です   
 
 2025.7.18 東京都八王子市    2025.7.18 東京都八王子市
雌花 花柱は3個 退化した白い雄しべが見えます  
 
 2025.7.18 東京都八王子市    2025.7.18 東京都八王子市
  雌花 子房は開花時から膨らみます  
 
 2025.7.18 東京都八王子市    2025.7.18 東京都八王子市
果実 子房は次第に翼のように3室にくびれ、各室に1個の種子が入ります  
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