マムシグサ
        サトイモ科 テンナンショウ属
  カントウマムシグサ
        サトイモ科 テンナンショウ属
   
2019.4.8 佐賀県   2019.5.2 広島県

四国〜九州の山野に生える多年草で、高さは120センチほどになる。雌雄偽異株で、雄株から雌株に転換する。鞘状葉や偽茎部の斑は赤紫褐色であることが多い。偽茎部は葉柄や花柄よりはるかに長い。葉は普通2個で、鳥足状に分裂する。小葉は9〜17個、披針形〜楕円形で、先端は尖り、全縁まれに細鋸歯がある。
花序柄は葉柄部と同長か長い。仏炎苞は淡緑褐色〜紫褐色、ときに緑色。やや半透明で白筋がある。筒部の口辺はやや開出し、舷部は卵形〜狭卵形で、先は尖る。付属体は淡緑色、棒状〜太棒状。花期は4〜6月。 



 
本州〜九州の林下などに生える多年草で、高さは120センチほどになる。極めて変異に富む。雌雄偽異株で、雄株から雌株に転換する。偽茎部は長く、葉柄部ははるかに短 い。葉は1〜2個付き、葉身は鳥足状に分裂する。小葉は7〜17個、長楕円形で先端が尖り、時に鋸歯がある。
花序柄は葉柄部と同長か長い。仏炎苞は紫褐色〜緑色で白筋がある。筒部の口辺はやや開出し、舷部は卵形で先は次第に細くなる。付属体は棒状、時に太い棍棒状〜頭状。花期は4〜6月。

−同じ科の植物−


〜徒然想〜

マムシグサという名の植物に対しては、無知ゆえの大変な誤解をしていました。

マムシグサ、カントウマムシグサ、オオマムシグサは、従来、「広義のマムシグサ、狭義のマムシグサ・・・」云々の説明がありました。しかしながら、その意味が分からず、区別できませんでした。
近年になって発行された「日本産テンナンショウ属図鑑」(邑田仁ら著,北隆館,2018年)には、この仲間について明解にまとめられています。前3者についても別種として扱い、それぞれ特徴を記しています。
その中で、マムシグサは、分布域が四国から九州であることは、驚きでした。完全にカントウマムシグサと混同していました。

本項では、マムシグサとカントウマムシグサを同ページに収載しています。理由は、前記図鑑に明解に記載されているとしても、撮影地と画像だけでは完全に区別できていないと思い、ご意見を伺いたいからです。
マムシグサとした画像は北九州で撮影したものです。カントウマムシグサと分布域が重なっています。
また、偽茎部が長いこと、茎に斑が目立つことからマムシグサとしましたが、共に変異が大きいということですので、同定の決め手ではありません。
一方で、マムシグサとした画像には、仏炎苞が葉身より明らかに早く展開した画像があります。

以下は、特徴の比較表です。

マムシグサ カントウマムシグサ
分布 四国、九州 本州、四国、九州(南九州を除く)
鞘状葉や偽茎部の斑は赤紫褐色であることが多い
偽茎部は葉柄よりはるかに長 い 偽茎部は長く、葉柄部ははるかに短 い
葉は通常2個、小葉は9〜17個 葉は1または2個、小葉は7〜17個
小葉は披針形〜楕円形、稀に細鋸歯がある 小葉は長楕円形、ときに鋸歯がある
花序 花序柄は葉柄部とほぼ同長または長い 花序柄は葉柄部とほぼ同長または長い
口辺部はやや開出 口辺部はやや開出
仏炎苞は葉身より明らかに早く展開する 仏炎苞は葉と同時または遅れて開く
仏炎苞は淡緑褐色から紫褐色、ときに緑色、やや半透明で縦の白筋がある 仏炎苞は主に紫褐色または緑色で白筋がある
舷部は筒部と同長または長 く、卵形〜狭卵形、鋭頭〜鋭尖頭 舷部は卵形で先が次第に細まる
舷部内面には隆起する細脈がない 舷部は内面に隆起する細脈が著しい
付属体は淡緑色、有柄で棒状〜太棒状、直立する 付属体は有柄で棒状、と きに太い棍棒状〜頭状となる
変異 九州のマムシグサは変異が大きい
四国のマムシグサは比較的単純
きわめて変異に富む
「日本産テンナンショウ属図鑑」(邑田仁ら著,2018年,北隆館)より引用
 2019.4.8 佐賀県    2019.5.2 広島県
 
 2019.4.8 佐賀県   2019.5.2 広島県
 
 2019.4.8 佐賀県(画像にポインターをおいてください)    2010.5.22 千葉県
 
2019.4.8 佐賀県     2015.5.22 長野県 
 
 2019.4.8 佐賀県   2012.5.20 静岡県